患者さんに教わった「手当て」の本当の意味
こんにちは、Juliaです。
「手当て」という言葉。いまは、ちょっとした応急処置や、対処療法のようなニュアンスで使われることが多いですよね。
けれど、この言葉には、もっと古くて、もっと深い意味があるのをご存じですか? 文字通り「手を、当てる」。ただそれだけの行為の中に、こころとからだを繋ぐ癒しの力が宿っていることを、私はひとりの患者さんから教わりました。
あるおばあさまとの出会い
配属されてまもない頃、長期の入院をしていたおばあさまがいました。穏やかで、いつもにこにこしていて、病棟のみんなから慕われている方でした。
ある日、採血をさせていただく場面で、私はちょっとだけ失敗してしまったのです。針が、なかなかうまく入らなかった。
冷や汗が出ました。「申し訳ありません、もう一度お願いできますか」と震える声でお願いする私に、おばあさまはにっこり微笑んで、こう言ってくださいました。
「あなたの手、温かいね。心配しなくていいよ」
その手が、まるで私の震えを受け止めるように、ゆっくりと差し出されていました。
「手当て」の、本当の意味
後日、そのおばあさまは、私にこう話してくださいました。
「看護師さんってね、みんな手が温かいのよ。どんな時代でも、どんな症状でも、手を当ててくれる人の手は、必ず温かいの」
「私ね、何十年も生きてきたけれど、この手の温かさに何度も救われてきたのよ」
その言葉を、私は忘れません。「手当て」という日本語は、文字通り「手を、当てる」行為のこと。けれどそこには、単なる身体への接触を超えた、静かな癒しが含まれているのです。
人が、誰かの痛みやつらさを前にして、ただそっと手を当てる。技術でも、薬でも、知識でもなく、ただ「ここにいますよ」という存在そのものの伝え方。
医療と占い、どちらにも通じるもの
看護師として人に手を当てる時間も、占い師としてカードを通して相談者さんの心に触れる時間も、実は同じところを目指している、と私は感じています。
それは、「その人が、ここに在ることを受け止める」という、とてもシンプルな営みです。
患者さんの手をそっと握ることも、タロットカードを一緒に眺めて言葉を紡ぐことも、「あなたは、ひとりじゃない」と伝えるための、別のかたちなのです。
自分自身にも、手を当ててあげる
もし今、あなたが疲れていたり、眠れなかったりするのであれば。ためしに、ご自分の胸に、そっと両手を当ててみてください。
呼吸が、すこしだけゆっくりになります。自分のぬくもりを、自分で受け取っている感覚があります。
それが、あなたがあなた自身にしてあげられる、いちばんやさしい「手当て」です。
誰かに手を当ててもらうことも大切ですが、自分で自分に手を当ててあげられるようになると、こころがすこしずつ、安定してきます。
「手を当てる」という、静かな祈り
おばあさまは、私にもうひとつ、大切なことを教えてくれました。
「手を当てるっていうのはね、祈りなのよ」
言葉はなくても、その人の痛みがすこしでも和らぎますように、と願う祈り。
看護師が患者さんに手を当てるのも、お母さんが子どもの頭を撫でるのも、自分で自分のお腹にそっと手を置くのも、どれも小さな祈りのかたちです。
どうか今日も、あなたの周りに、温かい手がありますように。そしてあなた自身もまた、誰かのための、やさしい手でありますように。
